気になるボートレースの審判員とは!?ボートレースの審判員の秘話
気になるボートレースの審判員とは!?
ボートレースの審判員

一番右が疋田審判長。副審判長、中央審判員、信号審判員の順に並ぶ
着順やタイムを確定したり、危険な航法に対しては妨害失格を適用したりするなど、全国24のボートレース場で公正・安全・円滑なレースを実現するために、審判員は日々重責を担っています。

ボートをじっと凝視してわずかな違反も見逃さない
「ボートレースの審判業務は、瞬時に正確な判断を下さなければならない仕事です」と語るのは、ボートレース浜名湖で審判長を務める、(財)日本モーターボート競走会浜名湖支部審判部の疋田(ひきだ)さん。公正で安全なレースを円滑に運営するために、審判室から常に目を光らせています。
ボートレースにおける審判業務は複数名によるチーム体制で行われています。ここ浜名湖では7名の審判員が、業務を細かく分担しながら対応していますが、ミスを防ぐために、相手に正確に情報を伝えるコミュニケーションを徹底するとともに、何重ものチェックが行われています。
本番レースの時間が近づくと審判員は各自の持ち場につき、審判室内は徐々に緊張感が高まっていきます。そして、ピットアウトからスタート、ゴールまでのすべての状況に対し神経をとがらせます。その際大きな負担がかかるのが、目です。「待機行動中のチェックなど、わずかな違反も見逃さないためにまばたきもできないくらいです。視力はもちろんですが、ボート同士の間隔が離れていても全艇を監視できる視野の広さも重要です」と疋田審判長。
正確な判断を、しかも瞬時に下す
審判業務において特に難しいとされるのが、ケースバイケースの対処を要求される点です。様々な状況で常に的確な判断を下す必要があるのです。そのうえ違反などは、どちらとも判別しにくい微妙なケースも多く、判定をいっそう難しくします。しかしどんな状況であっても、「失格か否か」あるいは「選手責任か選手責任外か」などの判断を一瞬で行わなければなりません。
また、審判長が下した判定はやり直しや取り消しが絶対に許されません。このような厳しい条件があるのも、公営競技であるボートレースの公正さを保つため、お客さまに安心してレースを楽しんでいただくためには最も重要なことなのです。「審判長の判定は何があっても覆すことはできません。ですからルールなどの知識はもちろんのこと、大きなプレッシャーがかかっても平常心で思考できる強い精神力が求められます」と疋田審判長は真剣に話します。
秒刻みのスケジュールで進行するレースに、息をつく間もない審判業務ですが、各レースの合間には昼食をとったり、審判員同士で談笑するなどリラックスする風景も見られます。実はこの瞬間が審判員にとっては非常に大切です。「展示航走が終わってからレースが始まるまでの発売時間(約15分)は、緊張を解きほぐせる貴重な時間です。1日に12回あるレースで集中力を維持するためには、こうしたオンとオフの切り替えがとても大切です」と疋田審判長は話します。
数多くの経験を積み重ね学んでいく仕事
審判員になるためには、全寮制の「やまと学校」に入学し、そこで1年間の実務者養成訓練を行ったのち国家資格を取得しなければなりません。選手養成訓練同様、大変厳しく、ボートレースのプロフェッショナルとして必要な技能や知識、心構えを徹底的に習得します。しかし、「訓練で学ぶことは審判としての基礎中の基礎で、実際の業務は想像以上に難しいです。ボートレースの審判は数多くの経験の積み重ねがものをいう職業といえます」と疋田審判長。
非常に厳しい仕事ですが、それだけにやりがいも大きいという審判業務。その仕事について「違反を取ることが審判業務の目的ではありません。あくまでも公正で安全なレースの実施を陰で支えるのが審判員の役割なのです。ですから、すべてのボートレーサーがレース期間をケガなく完全無事故で終えてくれた時は、心から嬉しい気持ちになります」と疋田審判長は和やかな表情で語ってくれました。

◎副審判長/他の審判員からの情報をまとめ、審判長に報告
◎中央審判員/スタート・ゴール判定、タイム計測や競走成績など記録面を担当
◎信号審判員/お客さまに確定・着順タイム、レーサーには失格・欠場・周回などの情報を掲示
◎コーナー審判員/ 1、2 マーク航走時の航法などを監視(各1 名)。2 マークでは待機行動も監視
[若手審判員から見た審判業務]

西山審判員(入社7年目)
審判業務は間違いの許されない重要な仕事ですので、やはり実務についたばかりの頃は緊張で震えました。少しずつ経験を積み自分でも成長を感じる部分もありますが、瞬時の判断など、いまだにベテランの先輩方に及ばないところは多々あります。この仕事の一番の魅力は、一つひとつのレースの流れを作っていく点ですね。特に大きなレースの時などは、いつも以上に緊張感がありますし、その分やりがいを感じます。